「ニッキンONLINE」創刊!
 
HOME > 「ニッキン」最新号から > 社説 > 社説 イデコ拡充で資産形成の環境整備を

社説 イデコ拡充で資産形成の環境整備を

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 政府・与党は、2025年度の税制改正で、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者が毎月積み立てる掛け金の上限額を引き上げる方針を固めた。23年度税制改正では、少額投資非課税制度(NISA)の恒久化や投資枠拡大が決まり、24年1月からスタートした新NISAは空前の投資ブームを巻き起こした。iDeCoも大胆な制度拡充を実現し、国民がそれぞれのライフスタイルに合わせて金融資産を積み上げられるように、選択の幅を広げるべきだ。
 石破茂首相はデフレ脱却を掲げているが、足元の日本経済がもはやデフレスパイラルでないことは明らかだ。むしろインフレの環境下で物価上昇を上回る資産運用を目指すには、銀行預金や個人年金では難しい。仮に、日本銀行の目標である毎年2%の物価上昇率が続いた場合、元本100万円の20年後の実質的価値は約67万円に目減りする。
 国民に対し自助努力での資産形成を促すには、個人が運用益非課税で資産運用を行うことができるiDeCoとNISAが両輪となる。ただ、両制度の役割は異なる。一般的には、現役時代に使う可能性があるお金はNISAで増やし、老後まで取っておきたいお金はiDeCoで増やすことになる。
 iDeCoは自分で積み立てる年金であり、一度積み立てたお金は原則60歳になるまで引き出せない。その代わり、積立期間は所得税や住民税の負担が軽減されるという強力な税制メリットがある。
 iDeCoの利用が広がるかは金融機関の双肩にかかっている。ただ、各金融機関が本腰を入れて推進するかは、それぞれの経営戦略次第だろう。目先の利益に焦点を当てるなら、薄利ゆえ人手をかけても収益貢献度は低い。長期的視点に立って個人向けコンサルティング業務に資本を投下できる金融機関が担うべき役割である。一つでも多くの金融機関がそうした態勢を整えてくれることを切に望む。2024.12.13


ニッキンのお申し込み

ご購読のお申し込みは、インターネット・FAXで受付けしております。

申込用紙をFAX(03-3262-2838)またはお近くのニッキン支社・局までお送りください。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事