ニッキン抄 2019.11.8
風水害が相次ぎ、悲嘆に暮れた10月の最後に、悲痛な出来事が加わった。世界遺産に登録されている首里城の大部分が焼失した。青い空に映える鮮やかな朱色の姿が、真っ黒に変わり果てた▼沖縄県民の喪失感は察して余りある。地元銀行がホームページに載せたお見舞いの文章にも、思いの一端がにじむ。琉球銀行は「大きな悲しみを感じる」とし、沖縄銀行は「グループでさまざまな支援を実施する」と誓う▼1429年から450年間続いた琉球王国の文化が詰まった建物は、過去に四度焼失し、その度に再建されてきた。直近は1992年。沖縄戦での焼失から半世紀近く要し、戦後復興の歩みとも重なる▼首里城には王国の繁栄を祈願し、神女が巡拝する百人御物参(ももそおものまいり)の祭祀(さいし)が伝わる。百人(ももそ)は、たくさんの人を表す。日・中の築城文化が融合した威容を再現させようと、早々に“百人”の思いが寄せられている。その存在の大きさは、時を経ても変わらない。2019.11.8
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