ニッキン抄 2019.12.20
後妻業などの作品で知られる作家・黒川博行さんの小説にオレオレ詐欺を扱った「勁草(けいそう)」がある。名簿屋、受け子など登場人物はもちろん、手口にもリアリティーがあふれる。ドラマ化したら啓発効果は高い気がする▼平成の半ばから目立ち始めた親族をかたるオレオレ詐欺には警察庁も手を焼いている。さまざまな広報活動を展開してきたにもかかわらず被害は後を絶たない。対策の参考にすべく同庁は2018年に被害者に面接した▼分かったのは、約3割が現金を渡すのを思いとどまるよう声をかけられながら被害に遭っていた事実である。うそを信じ込んだ人を説得するのは骨が折れる。時に逆上され、心まで折れそうになると聞く。それでもくじけず声をかけ続けてもらいたい▼年の瀬に乗じてだまそうとたくらむ悪党もいる。声かけ主の9割を占めた金融機関職員は頼みの綱である。「疾風に勁草を知る」という言葉がある通り、意志の強さは困難な時に見える。2019.12.20
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