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社説 激変期生き抜く道標描こう

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 2019年の金融界は人口減少による国内市場の縮小や超低金利の長期化で、収益環境が一段と悪化した。9月中間決算は大手行5グループの純利益が3年ぶりに減少、地域銀行は7割が減益となった。デジタル化の加速で異業種との競合も激しさを増す。金融機関はパラダイムシフトへの対応を迫られているが、「過去の延長線上に答えはない」(全国銀行協会の高島誠会長)。激変期を生き抜くための新たなロードマップを描かないといけない。
 本紙読者が選んだ金融界10大ニュースは、社会や経済・金融環境が大きく「転換」する節目の出来事が目立った。1位は新天皇の即位に伴う「『令和』幕開け」。金融界は新時代を迎え、事業モデル変革への契機としたい。2位の「消費税率10%」ではキャッシュレス払いによるポイント還元制度も導入された。QRコードやカード決済の拡大に弾みを付ける時だ。
 各金融機関が独自性のある経営を創るうえで「金融検査マニュアル廃止」(7位)は大きな転機。目指す経営理念を確立し、改革につなげることが問われる。その前提が経営の持続性向上。「SBIグループ、第4のメガバンク構想」(10位)は過去の常識に捉われない生き残りの選択肢を示したといえる。「FRB、10年ぶり金利引き下げ」(8位)を始め世界的な金融緩和環境は当面続く見通しだ。
 また、「麻生金融相が金融審報告書の受け取り拒否」(6位)は老後2千万円問題として注目されたことで、個人の資産形成ニーズが高まった。金融界は顧客本位の商品販売が一層求められる。そうしたなかで「日本郵政グループ、かんぽ生命保険で不適切販売」(3位)は国民からの信用を逆手に取った悪質な不正で言語道断。経営体質を改善していくことが急がれる。
 19年も「台風で甚大な被害」(4位)が発生した。河川の氾濫や停電などで東日本を中心に多くの金融機関店舗が営業休止に追い込まれた。台風や豪雨といった大規模な自然災害は毎年のように起こっている。想定外に備えたBCP(業務継続計画)の不断の見直しが欠かせない。2019.12.20

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