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ニッキン抄 2020.8.28

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 担保は太刀二振り。剣一筋に生きる主人公が、入り用で御家人から三十両を借りる。だが、高利で返済に苦しむ――。歴史小説の巨匠、池波正太郎さんの「剣客商売」に出てくる▼舞台となった江戸時代は実際、さまざまな高利貸しがいた。今日借りて明日返す「烏金」(からすがね)。朝に百文借り、夕方までに百一文にして返す「百一文」。雨の日が続くなどで売り上げが立たない零細な商人が利用したようだ▼威迫的な取り立てもあると聞く。ファクタリングを装い、売掛債権を担保に高利で融資する令和のヤミ金である。コロナ禍で少額・迅速な資金需要は強い。一部銀行はフィンテック企業と組み、非対面ファクタリングに動く。透明な市場整備へ金融界の役割に期待する▼池波さんは今年没後30年だが、なお人気は衰えない。“闇の世界”は社会の裏表を鋭く描いた池波作品だけで生き続ければいい。「ヤミ金融ゼロの日」(8月30日)を前に思う。2020.8.28


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