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社説 証券口座の乗っ取り対策急げ

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 サイバー犯罪集団にフィッシングなどの手口で証券口座が乗っ取られ、保有する株式が不正に売買される被害が急拡大している。銀行口座やクレジットカードのフィッシング詐欺は、これまでも報告されていたが、証券口座が標的にされるのは盲点だったかもしれない。被害の拡大を防ぐため、急ぎ官民で対策を講じる必要がある。
 金融庁の発表によると2月から4月16日までに確認された不正取引は1454件。不正売買額は954億円に上る。2024年1年間のインターネットバンキングの不正送金額が約86億円、クレジットカードの不正利用被害が約555億円だったことを考えれば、乗っ取り証券口座での不正売買額が短期間に膨らんでいることが分かる。
 代表的な手口は証券会社をかたってメールを送り付け偽のサイトに誘い、IDやパスワードを盗んで口座を乗っ取るというものだ。乗っ取った口座にある株式を売却した資金で別の株式を買うなどして利益を得ているとみられる。
 犯罪者の新たなターゲットに証券口座が加わったことは間違いない。まずは官民で注意喚起を徹底し、利用者に偽メールへの警戒を高めてもらうことが重要だ。
 日本証券業協会は、本人以外に利用されるのを防ぐため、顧客に「多要素認証」を必須とするよう証券会社に要請し、4月25日に58社が対応したことを公表した。多要素認証を敬遠する顧客もいるようだが、安全を確保する措置として理解を求めたい。
 ネットバンキングやクレジットカードの不正利用では、顧客に大きな過失がなければ、補償する仕組みが整備されており、補償についても検討を急ぐ必要がある。
 狡猾なサイバー犯罪集団は巧妙な手口で新たな標的を探している。銀行や信用金庫を含め、あらゆる所でネット取引の利用が増えており、証券会社だけの問題とせず、顧客へ注意を促していきたい。2025.5.2


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