ニッキン抄 2022.1.21
芥川龍之介が若い作家に俳句を聞かせて批評させる。一句、二句と詠むと「いいですね」「二句目はあまりよくない」。「じゃあこれは」とまた一句。「まあまあですね」の反応に、芥川はニヤリと笑って「これは芭蕉だよ」▼いたずら好きだった文豪らしい逸話である。“駄作”も多かったとされる芭蕉。とはいえ俳諧の巨匠作という先入観があったら、シビアな感想は違ったかも知れない。今風に言えば、バイアスを排して作品本位で評価させたわけだ▼性別を超えた実力主義に弾みがつくか。今春の入試で願書から性別欄をなくした公立高校が東京を除く全国46道府県へ一気に広がる。性的少数者への配慮もあると聞く。金融界でも多様性を尊重した住宅ローンなどが増えている。ジェンダー平等の動きを後押ししてほしい▼芥川は男女平等を扱った随筆「世の中と女」も残した。変わろうとする今の世を泉下でどう眺めていようか。2022.1.21
ニッキンのお申し込み
ご購読のお申し込みは、インターネット・FAXで受付けしております。
申込用紙をFAX(03-3237-8124)またはお近くのニッキン支社・局までお送りください。