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社説 変化に即応した法整備を

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 1月17日、通常国会が開幕した。2022年夏の参院選を控え、政府は会期延長が難しいとの判断から内閣提出法案を58本に絞り込んだ。金融庁提出分は資金決済法改正案と保険業法改正案、公認会計士法・金融商品取引法改正案の3本。なかでも資金決済法は、金融のデジタル化が急速に進むなかで、新しい時代に対応するための法整備となる。
 資金決済法の改正骨子は三つ。一つ目は、ステーブルコインの規制。同コインは、法定通貨など他の資産と値動きを連動させたり、供給量をアルゴリズムで調整するなどして、価格が安定するよう設計された暗号資産だ。前者をデジタルマネー類似型、後者を暗号資産型と種別分けし、前者に対して規制の枠をはめる。
 二つ目は、民間金融機関がマネーロンダリング対策強化を狙いに共同で創設する新機関に対し、適正な業務運営を促せるよう監督権限を金融庁に付与する。三つ目は、マネロンに悪用されるリスクが大きい、高額利用が可能な前払い式支払い手段の発行業者に対し、犯罪収益移転防止法に基づく本人確認義務を課す。
 いずれも新しい金融サービスの悪用を防ぎ、安心して利用するために必要な措置だ。
 金融セクターは100年に一度の変革期にある。懸念すべきは、技術革新のスピードに法整備が追いついていないことだ。各国共通の課題だが、欧米諸国に比べ出遅れ感は否めない。わが国では緊急性が高いものを除き、法案提出のタイミングは毎年1月召集の通常国会に限られる。金融庁が一度に提出できる法案は、審議時間やマンパワーの制約から3本程度が限度だろう。
 法律が整わなければ、新規業務に挑戦する民間の出足は必然的に遅れる。当局には、制度整備のサイクルを速める工夫や、法制定前から方向性を頻繁に示すなど、時代の変化に即応する姿勢を求めたい。2022.1.21


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