ニッキン抄 2024.1.19
ミツバチの巣はメスが9割を占める女系社会だ。女王バチ以外のメスは全て働きバチ。両者に遺伝的な違いはなく、たまたま選ばれた女王候補には十分な栄養が与えられ大きく成長する▼女王は産卵に専念し、多い時は一日に2千個も産む。働きバチは幼虫の世話や花の蜜集めなどで献身的に支える。女王はまるで専制君主だが、見方を変えれば産卵という重労働を一身に引き受ける孤高の存在に映る▼出産・育児にかかる負担は生物の中でヒトが突出する。赤ん坊は生後1年近く、自力での移動すらできない。だが日本では「ワンオペ育児」の孤独に悩む母親が多い▼1月9日、有識者のグループが人口減を食い止める施策を首相に提言した。国は若い女性の声を政策に反映させる姿勢が不十分だったとも指摘した。悲観的な人口推計を覆すには戦力の逐次投入は愚策。女性の憤りや不安をかき消す、たっぷりの蜜で社会を満たす必要がある。2024.1.19
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