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社説 自律型賃上げへ労使は総力を

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 2024年の春闘は、賃上げの流れを継続する道筋を付けるうえで極めて重要だ。金融界では3月から労使交渉が本格化する。ベースアップや定期昇給などの賃上げが相次いだ23年春闘は物価高などへの対応という“外的要因”の色彩が強かった。今春闘では組織の活力を高めるための自律的な賃金上昇を目指し、労使は協議に臨んでほしい。
 円安などによる物価高騰に見舞われた23年はメガバンクが実質6~7%と大幅な賃上げに踏み切ったほか、地域金融機関でもベア実施が広がった。従業員の「生活水準維持」が大きな背景にあった。
 実質賃金については23年11月まで20カ月連続でマイナスだが、高騰が続いた原材料価格は落ち着き、足元の物価上昇率は鈍化傾向にある。“物価”を根拠とした賃上げは持続性が薄れつつあり、せっかく盛り上がった「人への投資」機運を弱めかねない。
 香川銀行や高岡信用金庫など、24年も賃上げ継続を表明する金融機関は出てきているものの、どこまで広がるかは未知数だ。生産性や企業価値の向上によって賃上げ原資を確保することが欠かせず、各金融機関は労使一体で知恵を絞ってほしい。
 公正取引委員会は労務費を適切に転嫁できるよう価格交渉の指針を公表した。中小企業の賃上げを促すもので、貸出金利や手数料を主体とした金融機関の事業モデルでは難しいとの声もある。だが、日本銀行の利上げが視野に入る24年は地道に適正価格を顧客に訴えていく好機となろう。
 賃上げでは若手だけでなくシニアのやる気を高めることも大切だ。50歳前後から急降下する賃金カーブを緩やかにする工夫が要る。京都フィナンシャルグループは若手の平均8%に加え、55歳以上にも平均6%のベアを決めた。
 いかに働き手の意欲を引き出し、組織の活力を生み出すか。正念場を迎える今春闘で、経営者と労働組合は総力を挙げて取り組んでもらいたい。2024.1.19


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