ニッキン抄 2024.8.23
ある夏の夜。青年が庭で寝ていると天女が舞い降りてきた。着衣を見ると縫い目が無い。たずねると「天衣は針と糸を使いません」。この中国の故事に由来するのが「天衣無縫（てんいむほう）」。自分らしい自然なさまを表す。岸田首相の座右の銘だ▼就任から約3年。支持率低下も意に介さず、持ち味の自然体を通してきたように見えた。だが一転、自民党総裁選の不出馬を表明した。「政治とカネ」問題に物価高などが相まって国民の不信・不満が増大。党内支持も得られないと判断したようだ。岸田氏を囲う政権は、傷み破れた「弊衣（へいい）」だったろう▼それでも在任中の経済・金融政策は評価する声が多い。新NISA導入など資産運用立国プランにGX投資、異次元緩和の転換。一方で財政健全化は遠のいた。いずれも進展は次期首相に託される▼ポスト岸田には10人以上の候補者名があがる。総裁選後は新衣をまとい生まれ変わった政権が見られるか。2024.8.23
ニッキンのお申し込み
ご購読のお申し込みは、インターネット・FAXで受付けしております。
申込用紙をFAX（03-3262-2838）またはお近くのニッキン支社・局までお送りください。
