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社説 南海トラフに備えBCP点検を

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  宮崎・日向灘地震が起きた8月8日、気象庁は南海トラフ地震の「臨時情報」を発表した。同15日に解除されたが、巨大地震のリスクを改めて認識させられる契機となった。8月30日~9月5日の「防災週間」も含め、災害への備えに不足がないか定期的に点検する必要がある。
 臨時情報は、大規模地震の可能性が高まった時などに気象庁が発表する。2017年に運用を開始し、今回が初の発表だった。臨時情報を受け、幅広い地域の金融機関が災害発生時の避難経路の確認、備蓄品の点検、安否確認方法の徹底などに動いた。
 南海トラフは、静岡県の駿河湾から宮崎県の日向灘にかけての広範な海底に存在する。政府の地震調査委員会は、マグニチュード8~9クラスの巨大地震が今後30年以内に「70~80%」の確率で発生すると予測している。
 南海トラフの被害は、最悪のケースで関東から九州の30都府県で約32万人が死亡し、避難者数は地震発生1週間で950万人にのぼると推計されている。関東大震災の死者・行方不明者約10万5千人、東日本大震災の同約2万2千人を大幅に上回る。万一に備え、従業員やその家族の命を守る対策が最優先となる。
 そのうえで、重要な社会基盤である金融には早期の業務再開も求められる。キャッシュレス決済が普及し、現金の保有を減らす人が増えているが、地震で停電や通信回線の不通が起きれば、キャッシュレスの決済端末は利用が困難になる。有人店舗の減少傾向は顕著だが、災害時には対面での預金払い戻しが重要性を増すだろう。
 臨時情報を踏まえ、業務継続計画(BCP)を再確認する金融機関もあった。広範囲に被害が及ぶ未曽有の地震が起きた場合、救助の遅れや支援物資の不足に加え、日本銀行の現金輸送が滞る可能性もある。過去の経験則にとらわれず、BCPをブラッシュアップしていくことが大切だ。2024.8.23


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