ニッキン抄 2026.7.3
原田ひ香さんの連作短編集「三千円の使いかた」は、3世代4人の女性たちが主人公。生活と切り離せない「お金」をどう使い、どうためるか。抱える事情は異なるが、悩みながら難問に向き合う姿が読者を引き付ける▼登場人物は作中、思いもよらない出費に見舞われたり、老後資金を思って不安を募らせたりする。誰しも身に覚えがありそうなエピソードに、読む側もはっとさせられる▼お金の使い方、ため方が問われているのは企業も同じだ。積み上がる現預金に、金融市場が向ける視線は厳しい。国も賃上げや投資への姿勢に目を光らせる。想定外の事態への備えは誰も否定しないが、成長の道筋を描けないだけなら、不作為と批判されても仕方あるまい▼お金や節約は人が幸せになるためのもので、「それが目的になったらいけない」。主人公の1人は経験を経て、そんな思いに至る。企業のお金も、そうした使い方でこそ生きるのだろう。2026.7.3
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