社説 安定資金調達の重要性高まる
31年ぶりに日本の政策金利がコンマの世界を抜け出し、1%になった。追加利上げも想定され、金融機関は安定した資金調達の重要性が高まる。貸出や資金運用の原資となる預金が不足すれば収益の足かせになるが、高い金利や大口偏重で集めれば、資産・負債の総合管理(ALM)の観点から懸念が生じる。
マイナス金利解除以降、預金獲得競争は激化し、法人だけでなく個人も金利に敏感になっている。以前と違い、アプリなどデジタル取引の普及で、預金は簡単に移し替えられる。地方では相続に伴う都市部への預金流出が増えており、攻めだけでなく守りの預金戦略が欠かせない。
個人分野では預金以外の金融商品との競合もある。6月募集分の個人向け国債金利は、最も高い5年債が1.86%で、定期預金との金利差は小さくない。株高を背景に投資信託など投資商品に向かう資金も増加傾向だ。
容易ではないものの、個人とのつながりを強化し、粘着性の高い預金を増やす必要がある。ポイントサービスの拡充や地域課題の解決につながる共感を呼ぶ預金商品開発などは対策になろう。
自治体の金利選好が強まり、公金預金を従来通り獲得するのが難しくなる可能性もある。岡山県瀬戸内市は地元枠とは別枠を設け、一定の条件を満たせば他地域の金融機関の参加を認める入札を6月に実施。3億円(6カ月)の落札金利は1.15%となった。
地域銀行では預貸率が80%台まで上昇。全国地方銀行協会の八木稔会長が6月の会見で、預金以外の資金調達に触れたように、強い資金需要に応えられるよう多様な調達手法を考える必要はある。
2023年に経営破綻した米国のシリコンバレー銀行は、大口預金と債券運用に偏重し、金利上昇局面で債券含み損が拡大。経営不安説が流れ、預金が一気に流出した。極端な例だが、ALM失敗の教訓とすべき点はある。2026.7.3
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