社説 健全な危機意識の共有が前提
金融庁は6月8日、人口減少を踏まえた早期警戒制度の改正案を発表した。監督指針を見直し、人口減が預金動向に与える影響などをシミュレーションした上で、必要な自己資本を満たせない状況が続くと判断すれば、資本増強に関する業務改善命令を出せるようにする。
改正案は2025年末にまとめた地域金融力強化プランで示されていた。加速する人口減が預金量に影響を及ぼし始めていることが背景にある。金融庁によると23年12月以降、個人預金が減少する信用金庫・信用組合数が増加する信金・信組を上回るようになった。地域銀行でも4割程度が個人預金の減少に直面しており、健全な危機意識を共有することは重要だ。
金融庁案では業務改善命令を出す流れとして、合理的シナリオにもとづくストレステストで最低自己資本比率を下回る蓋然(がいぜん)性が高いと認められた場合、深度ある検証を行い、業務改善を促す。その結果、自己資本増強を確実にする必要があると判断されるケースとしている。
再編を促すとの見方もあるだけに、制度の運用にあたっては、金融機関の声にもしっかり耳を傾け、納得性ある対話を前提にしてもらいたい。金融システムの安定を守ることは金融庁の大きな使命とはいえ、合併・経営統合は経営の判断に委ねられるべきだ。
一方で地域金融機関は人口減が待ったなしで進むことを強く意識して経営しなければならない。今回の監督指針改正案には地域の顧客サービス維持・確保に関する着眼点も盛り込まれ、他業種との共同店舗や業務委託などが参考例として示されている。
預金や人口が減少しても単独で適正な収益を上げられる経営を目指すのか。同業態での合併・経営統合を選ぶのか。異業態・異業種と手を組むのか。考えられる選択肢はさまざまあるが、手遅れになれば地域経済に与える負の影響が大きくなる。2026.6.19
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