社説 マネロン対策の実効性高めよ
金融庁が7月3日、マネーロンダリング(資金洗浄)対策の課題などをまとめたレポートを公表した。預金取扱金融機関の基礎的態勢整備は、おおむね完了したと評価した一方、対策が実際に機能しているかを確認し、改善に取り組む有効性検証については、「ばらつきがみられる」と指摘した。2028年6月に金融活動作業部会(FATF)の第5次オンサイト審査が予定されており、官民で協力し、マネロン対策の実効性を高めなければならない。
日本は、08年から行われたFATFの第3次審査で40の勧告のうち9項目が不履行とされるなど厳しい評価を受けた。19年からの第4次審査で不履行は一つに減ったものの、11項目の有効性評価で十分とされたのが3項目にとどまり、重点フォローアップ国と位置付けられた。
第5次審査では、より有効性が問われるとみられる。各金融機関が自らの態勢を点検し、自律的に改善・高度化を目指す必要がある。金融庁は今回、自ら高リスクと評価しながら有効性検証の対象としていない事例や、主管部所以外が有効性検証の取り組みを適切に把握していない事例があったとした。以前から指摘されているように経営陣が積極的に関与し、改善に努めなければならない。
検証は自社の態勢だけでなく、外部委託先についても求められる。疑わしい取引の検知にマネーローンダリング対策共同機構など為替取引分析業者を利用する金融機関が増えているが、任せたから終わりにはできない。評価手法の高度化などを一緒に進めないと手口は進化する。
有効性検証の内部監査も課題とされており、PwCジャパンと地域銀行12行が始める共同化は有効だろう。人材不足を補うことができる。
課題は多いだけに、各金融機関が能動的に対処していくことが重要だ。マネロン対策の遅れは、日本の金融セクター全体の信認を損なう。2026.7.17
ニッキンのお申し込み
ご購読のお申し込みは、インターネット・FAXで受付けしております。
申込用紙をFAX(03-3237-8124)またはお近くのニッキン支社・局までお送りください。


