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社説 長崎への貢献、結果で示せ

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 ふくおかフィナンシャルグループ(FG)と十八銀行の経営統合計画に8月24日、公正取引委員会がゴーサインを出した。2年超に及んだ審査は、両社の約1千億円の債権譲渡(肩代わり)という苦渋の決断を経て、統合承認で終幕した。ただ、十八銀の森拓二郎頭取が言うように「今はスタートライン」だ。ふくおかFGの柴戸隆成社長が、計画発表から一貫して主張してきた「長崎県経済のため」の施策を今後、具現化しなければならない。結果を残して、初めて新たな地域銀の統合モデルとなる。
 長崎県経済も多くの地方と同様に人口減少が続き、厳しさが募る。期待されるのは、統合したからこそ可能なビジネスモデルや金融サービスで、地域・取引先の成長を支援することだ。十八銀と親和銀行で近接・重複する店舗50カ店を統廃合するとしており、これにより生まれる余力の振り向け方がカギを握る。
 中小企業向けコンサルティング業務の強化はもちろん、豊富な観光資源を生かし、交流人口をさらに増やす取り組みなど、将来の長崎県のグランドデザインを描きつつ、ヒト・モノ・カネを総動員し、地域を支えてもらいたい。
 統合により、企業の情報は増える。例えば、ふくおかFGの福岡県内取引先A社に納品する十八銀の長崎県内取引先B社があれば、A社の売り上げを増やすことが、B社の売り上げ増にもつながるなど、新たな支援のあり方が考えられる。過去に親和銀、熊本銀行と経営統合した、ふくおかFGには統合効果発揮のノウハウもあるはずだ。
 ただ、承認されたとはいえ、圧倒的なシェアを有することに変わりはない。これまで以上に借り手、利用者の声を丁寧に聞くことが重要だ。効率化は必要だが、時に強引とも受け取られかねない。「銀行都合」との批判など招けば、苦渋の決断の意義が薄れる。
 一方、両社から債権を譲り受ける約20の金融機関も責任ある対応が求められる。譲受先への支援に加え、中小企業向け貸出で切磋琢磨(せっさたくま)する姿勢がなければ、公取委が懸念した競争環境維持は望めなくなる。2018.9.7


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