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社説 想定外に備えBCP総点検を

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 9月6日未明に最大震度7を観測した北海道胆(い)振(ぶり)東部地震では一時、道内全域が停電する「ブラックアウト」が起きた。広範囲で電源が確保できない未曾有の事態に、多くの金融機関で店舗営業やATM運営に支障を来した。予期せぬ災害は全国どこでも発生し得る。今回の震災で浮き彫りとなった課題を金融界全体の教訓として捉え、改めて業務継続計画(BCP)を総点検してほしい。
 地震が起きた当日9時に通常営業できた道内金融機関の店舗は全体の2割に満たなかった。停電の影響で現金バスが作動しなかったり、電気施錠の店舗に職員が入れない事態も発生。「電源確保の重要性」が再認識された。電力復旧までに役立ったのが自家発電だが、燃料調達に手間取り稼働しないケースもあった。発電装置の充実はもとより、使用する重油・軽油の入手方法の確認も怠れない。
 事前に策定していたBCP対策にも課題を残した。「シャッターを手動で開ける訓練をしていなかった」「発電装置を稼働させたのは初めて」という金融機関もあり、日頃の訓練が欠かせない。連絡方法では「店ごとでなく全店一斉にする必要がある」「携帯電話がつながらない地域もあり、衛星電話の導入を考えるべき」など改善点も浮かび上がった。そのなかで広域店舗網を展開する北陸銀行は本部と非常用電源のある道内店舗をテレビ会議でつなぎ、リアルタイムで情報収集に役立てた。
 交通網が寸断したり街が混乱した状況では従業員が営業店にたどり着いても来店客が限られるほか、帰宅困難者を生む懸念もある。被災状況に合わせた柔軟な対応も検討課題となろう。優先的に業務を行う店舗を事前に選定する、あるいは地域の金融団で緊急時に代行処理する店を決めておき、顧客に事前周知しておく方法も考えられる。
 大規模停電で「電気依存社会のもろさ」「想定外は起こり得る」ことが改めて立証された。最悪の事態に備え、ハード・ソフト両面の対応力を高める必要がある。国民生活や経済活動のインフラを担うだけに、BCPの不断の見直しが求められる。2018.9.21


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