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社説 苦境打開へ業務再構築を

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 地域銀行の2018年9月中間決算は7割が減益決算となった。日本銀行のマイナス金利政策が大きく影響していることは間違いないが、国内の超低金利環境は当面、継続されることを覚悟せざるを得ない。本業の貸出業務で、どう一定の収益を確保していくかが問われる。手数料をはじめとする非金利収入の増強はもちろん、効率化策を含めて業務全般のあり方を収益性の観点から再構築する必要がある。金融庁が2018年度の金融行政方針で指摘した通りに、一度赤字に陥ると容易に黒字転換できなくなる恐れもある。
 経営統合による負ののれん代が大きい三十三フィナンシャルグループと関西みらいフィナンシャルグループ、不正融資問題で985億円の赤字だったスルガ銀行を除く85行・グループの中間純利益は前年同期比約8%減少した。
 大きいのは本業の貸出で稼ぐ力が回復しないことだ。貸出金利息収入の低下に歯止めがかかった銀行はあるものの、融資量の拡大で貸出金利回りの低下をカバーしている状態だ。大企業に限らず、内部留保を積み上げ、借入金に依存しない経営を指向する傾向は強まっている。低金利を武器にした貸出では収益性改善は遠のく。
 事業再生や事業拡大支援を通じ、取引先の企業価値向上に今まで以上に丁寧に取り組むことが欠かせない。時間はかかっても地元経済の稼ぐ力を高めない限り、持続的・安定的に収益を確保することは難しい。
 ここに来て新たな収益圧迫懸念も浮上してきた。低水準にあった与信コストに増加の兆しがでてきたことだ。人手不足倒産などに加え、一部で業歴が浅く担保が不十分な企業の倒産が増えているとの声が聞かれる。収益確保へ不動産担保や保証に過度に依存しない融資の重要性は高いだけに、融資実行後の管理強化が大事だ。
 収益性改善は一朝一夕には望めない。しっかりと取引先と向き合い、適正な対価を得られる金融サービスを提供していくしかない。起死回生を狙った運用や短期的収益確保のための融資に走れば、落とし穴もある。2018.11.30


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