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社説 異業種協業を変革エンジンに

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 無料対話アプリのLINEはみずほフィナンシャルグループ(FG)と組み、2020年に新銀行開業を目指すことを表明した。みずほFGにとっては7800万人の利用者を抱えるプラットフォーマーとの提携で、若年層との接点拡大や膨大なデータの利活用が望める。少子高齢化が加速し、超低金利が続く環境下、金融界は従来型ビジネスの先細りが避けられない。異業種との協業を変革へのエンジンに育てる必要がある。
 「銀行業はまだまだ改善の余地がある」。LINEの出澤剛社長はユーザー目線で既存の銀行と差別化できる考えを強調した。スマートフォンを使った小口送金やローンを提供するとみられる。既に決済、証券、保険各分野を手掛け、デジタル世代へのリーチはさらに広がる。
 一方、若年層の獲得は既存金融機関の共通課題だ。みずほFGの提携も「新規口座の開設者が3メガバンクよりネット銀行の方が多い」との危機感が背景にある。創業歴は浅いネット専業・流通系など10行合算の預金はすでに20兆円と信用組合業界と同規模に成長。9月にはローソン銀行も開業した。QRコード決済や給与デジタル払いなどキャッシュレス化が一段と進む前に、若年層との接点を確保する抜本対策が急務だ。
 新銀行に対しては規制対応コストなどを踏まえたビジネスの採算性などを不安視する向きもある。だが、みずほFGは「LINEのスピード、チャレンジなどのカルチャーを取り入れる」と風土改革に期待する。
 金融界ではフィンテック企業との連携を促すAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)公開が大手行などで進む。ただコスト面から外部連携に慎重な地域金融機関も少なくない。既存の枠組みに捉われないサービス開発に異業種の知見を生かすためにも積極的な取り組みが望まれる。
 利便性の高いサービスを提供するフィンテック企業や豊富な顧客基盤を有する小売りなど異業種の金融業参入は今後も相次ぐことが予想される。金融界は顧客層を広げるチャンスと捉え、協業の道を探ってほしい。2018.12.7

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