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社説 顧客本位で説明責任果たせ

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 金融機関の外貨建て生命保険の販売で、為替リスクの説明不足などが指摘されている。「顧客本位の業務運営」を再度徹底し、実を伴う説明責任を果たしていくことが重要だ。証拠を残すだけでは真に説明責任を果たしているとは言えない。高齢者への販売には、より慎重な対応が求められよう。金融界、生保界が協力し、顧客に分かりやすい説明に努めてもらいたい。
 「少しでも有利な運用をしたい」というニーズは常に存在する。現在の金利情勢で一定の利回りを確保しようと思えば、外貨建て保険商品は有力な選択肢の一つであり、提案する理由も十分ある。ただ、説明不足や前のめりの説明で顧客が本来の意向にそぐわない商品を契約してしまえば当然トラブルになる。
 国民生活センターに寄せられる保険の銀行窓販に関する相談は2007年の全面解禁以降、毎年300~600件で推移している。うち契約者が60歳以上の案件がおよそ8割を占めている。なかには「母が銀行に勧められ、投資信託だと思って契約したが、外貨建て変額終身保険だった」という相談もあり、高齢者への販売に課題は多い。
 明らかに説明が不適切な事例は言語道断だが、時間の経過で記憶があいまいになることは想定される。全国銀行協会の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)が2月14日の会見で述べたように高齢者に説明する際、親族の同席を求めることは有効だ。
 生保商品は契約期間が長く、契約者の事情で中途解約が発生する。売り放しにして解約の際、損失が生じると分かればトラブルは深刻化する。販売時に利回りや解約時の説明をしっかり行うとともに、定期的に説明の機会を設けることも大事だ。外貨建て商品は為替変動の影響を受けるだけに、解約時の受取額などの通知頻度を高めることを考えていく必要もあろう。
 生命保険協会は説明補助資料作成を急いでいるが、運用するのは金融機関の現場だ。経営トップが趣旨を徹底し、現場の意識が向上しない限り、顧客本位の実現はおぼつかない。手数料獲得が目的となっていないか、目標のあり方も点検すべきだ。2019.2.22


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