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社説 8回目の3.11、思いつなげ

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 東日本大震災の発生から間もなく8年が経過する。インフラ整備が進む一方で、震災前の事業規模まで戻らない事業者が少なくない。一定期間返済が据え置かれる貸付を受けた企業で、売り上げ回復前に返済が始まれば経営が厳しくなる。金融機関は地元自治体や東日本大震災事業者再生支援機構などと連携し、事業者に寄り添う支援を続けてもらいたい。地域経済の縮小に拍車をかける倒産や廃業を増やす訳にはいかない。政府が定めた復興・創生期間は残り2年。復興庁の設置期限も迫る。
 東京商工リサーチの調査によれば東日本大震災関連倒産は1月末まで95カ月連続して発生し、累計で1900件に達する。1月は5件あり、8カ月ぶりに前年同月を上回った。容易に売り上げが回復しないなか、原材料費や人手不足による人件費高騰が重くのしかかる。金融機関には人材紹介や事業承継支援の拡充が期待される。
 発足後、738件の支援を決定した震災支援機構は、2015年10月から始めた個々の事業者の価値を高めるソリューション業務に支援の軸足を移している。被災事業者の復興を軌道に乗せるには金融支援に加え、販路開拓など本業支援が欠かせない。被災企業を支えたグループ補助金は中小企業の場合、費用の4分の3まで支給される。残る4分の1を数年間返済が据え置かれる自治体の貸付制度で調達した事業者もおり、返済が始まれば新たな正念場を迎える。
 沿岸部の水産加工業には依然厳しさが残るものの、外国人観光客数が増え始めたのは明るい材料だ。今秋のラグビーワールドカップでは釜石市、20年の東京オリンピックでも福島市が野球・ソフトボール会場となる。知名度を高め、継続的に外国人を呼び込む足がかりとしたい。
 福島県沿岸部は原子力発電所事故収束のめどが立たない。他の被災地も、それぞれ課題を抱える。震災後、地元金融機関には復興支援に携わりたいとの思いで、就職してきた人もいる。こうした思いをつなぎ、復興への道のりを確かなものにしたい。8回目の3.11。震災の記憶を風化させてはならない。2019.3.8


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