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社説 「令和」を金融の新たな時代に

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 新元号が4月1日、「令和(れいわ)」に決まった。5月1日に改元され、新時代が幕を開ける。今回、中国の古典からではなく、日本の万葉集からの出典となるなど、変化があった。元号が改まっても、金融を取り巻く環境が変わる訳ではないが、気持ちを切り替える区切りにはできる。平成の教訓を忘れず、革新に挑み、新たな金融の時代を築く転換点としたい。
 日本経済は昭和に驚異的な復活を遂げた。平成に入ると一転、停滞感が強まった。金融界も例外ではない。昭和に築き上げた信頼や収益力は大きく揺らいだ。行き過ぎた貸出姿勢は平成バブル経済発生の要因となった。その崩壊により、金融機関の信頼は大きく傷ついた。昨今、相次ぐ組織的な不祥事も気がかりだ。平成半ば以降に常態化した低金利は、金融機関から利ざやを奪い、伝統的な預貸金ビジネスの持続性に疑問符が付けられるようになった。
 新たに幕を開ける「令和」の時代に求められるのは、信頼を高め、収益力を取り戻す挑戦だ。そのためには、自らが変わっていく必要がある。顧客との向き合い方、商品・サービスのあり方、業務の効率化など、あらゆる面で旧来の殻を破る発想と実行力が求められる。
 決済業務にみられるように、異業種やフィンテック企業が、これまで金融機関の固有業務だった分野に参入している。背景にあるのは、ICT(情報技術)の急速な進歩だ。この流れは、今後ますます加速する。技術の革新性に加え、膨大な量の情報を保有する巨大IT企業と競合することも十分あり得る。その場合、決済分野だけとは限らない。対抗するには、信頼を確固たるものとし、スピード感あるイノベーションが必要となる。
 喫緊の課題として新元号決定により、システムや帳票類の点検には用心したい。4月27日から始まる前例のない10連休対応も注意が必要だ。取引先の資金繰りやATMの管理など、チェックすべき点は多い。海外市場が急変する可能性も皆無ではない。改元早々、信頼を傷つける事態を招くようなことがあってはならない。2019.4.5


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