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社説 女性役員の内部登用を進めよ

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 銀行経営に女性の視点を取り入れる動きが広がってきた。銀行持ち株会社と全国の銀行93行・社の女性取締役・監査役は2019年3月期(有価証券報告書)で計90人と前年同期比17人増え、比率は7.3%に高まった。多様化する顧客ニーズへの対応や、イノベーション創出に女性の力を生かすのは必然の流れだろう。ただ、女性役員の多くは社外からの招へい。女性行員のモチベーション向上の観点からも、社内昇格による役員起用を進めることが重要だ。
 デジタル化の加速、異業種参入など銀行を取り巻く環境は変化が著しい。対応するには経営の意思決定に多様性が欠かせず、社外から経験豊富な女性役員を招くメリットは明らか。ガバナンス強化も望める。銀行界でも政府が求める「女性役員1人以上の登用」が7割に広がったが、即戦力となる外部人材の活用によるところが大きい。
 一方、近年の女性活躍推進で管理職クラスに占める女性の比率は着実に高まっている。その意味で内部から女性役員を登用する余地は十分にある。キャリアを積んだ女性幹部行員を次世代リーダーに育てるロールモデル作りが必要だ。
 女性役員育成の計画策定やサクセッションプラン(後継者育成計画)に女性を積極的に含めるといった動きはまだ限られ、取り組みの拡大に期待したい。その前段として男女で昇進や研修機会に格差があれば是正するのは言うまでもない。新卒の採用段階から長期的な視点に立った人材戦略も求められよう。
 仕事と育児・介護の両立支援は広がっている。しかし「家事は女性の仕事」との性別役割分担意識は根強く、国内の育児休業取得率は女性の80%超に対し男性は6%と依然低い。女性役員の人材プールを狭めないためにも周囲の協力が重要だ。一部で導入された男性の育休取得義務化などの施策が急がれる。
 もちろん女性活躍の流れがあるからとはいえ、本人が主体的にスキル・能力を磨く自己研さんが大前提となる。重要なのは能力本位の人物起用。男女問わず活躍できるダイバーシティ経営を加速してもらいたい。2019.7.26


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