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社説 内定者フォローで不安払拭を

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 2020年春に卒業する学生らを対象にした内定式が10月1日、各金融機関で一斉に開かれた。学生のなかには社会人生活に対する不安や入社への迷いを抱く「内定ブルー」に陥る人も少なくない。とりわけ経営環境が厳しく、逆風が吹く金融界は先行き不透明感が強い。内定辞退や早期離職を招かないよう、金融機関の人事担当者はこれから半年間、内定者の不安を払拭(ふっしょく)するためのフォローを従来以上に心掛けることが重要だ。
 就職情報サイト運営のマイナビが7月下旬に実施した調査によると、入社を決めた後に「本当にこの会社でいいのか」と不安を感じた学生は半数を超えた。収益悪化や人員削減などが伝えられる金融業界の内定者は、その傾向が強い。それだけに、働きがいや自社の将来ビジョンなどを訴えていく必要がある。
 学生とのコミュニケーション手段として増えているのが懇親会や支店見学などのイベント開催。会社や社員の雰囲気を伝え、内定者に「安心」を感じてもらうためにも有効だ。また年齢の近い先輩社員との面談は入社後の働くイメージを明確にしてもらうのに役立つ。入社までに極力、こうした接点の機会を増やしてほしい。
 内定者同士の「横のつながり」を強めることも内定辞退を防ぐのに効果的だ。大手損害保険会社では昨年、19年入社予定の内定者に20年新卒者向けのインターンシップイベントを企画させるユニークな取り組みを実施。同期の一体感を深められたという。このほか学生向け「就活ガイド」の制作を内定者にしてもらうなどの事例も参考になる。
 学生が感じる不安に「仕事についていけるか」も多い。資格取得の支援や通信教育、eラーニングなどで入社前に一定のスキルを身につけてもらえば本人に自信が付き、受け入れ側の負担も減らせる。その際、メンター的な先輩が内定者の相談にきめ細かく対応するなど工夫が必要だろう。今の内定者や新人は、幼いころからインターネット環境に囲まれて育った「デジタルネイティブ世代」。迎え入れる金融界は、その感性を組織で生かす視点も欠かせない。2019.10.4


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