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社説 特則順守し後継者難倒産防げ

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 事業承継時に新・旧両経営者から原則、保証を二重に徴求しないことを定めた経営者保証ガイドラインの特則が4月1日から適用される。二重徴求の割合は足元で2割を切るところまで減っているが、二重徴求は円滑な事業承継の妨げになる。特則を順守し、不必要な二重徴求をなくす取り組みを金融界全体で進めてもらいたい。
 特則は単に二重徴求を禁止するだけでなく、後継者から保証をとる場合の留意点や、金融機関の体制整備を促す項目を盛り込んでいる。中小企業の事業承継を円滑にしていくうえで、重要な視点が示されている。
 例えば、例外的に二重徴求が許容される事例を挙げたうえで、拡大解釈を戒めている。単に複数代表になったことや、大半を前経営者が保有しているなど形式的な判断だけで、例外扱いすることは慎まねばならない。
 また、前経営者の保証を外しても、当然に保証を引き継がせることなく、保証の必要性を改めて検討し、慎重かつ柔軟に対応するように求めている。過去の慣行を改める機会だ。内部規定やマニュアルを見直し、特則の趣旨を職員に徹底してもらいたい。現場が判断に迷わないよう基準を定める必要もある。
 特則の適用と合わせて、事業承継時に経営者保証を信用保証協会の保証で代替する制度も始まる。保証利率も引き下げられるが、安易に信用保証に切り替えるのは問題がある。優先すべきは保証を解除できるように事業承継計画の策定・実行を支援していくことだろう。新たな保証はあくまで、やむを得ず経営者保証が必要と判断される場合の代替手段と考えるべきだ。新旧経営者としっかり話し合いのうえで、対応してもらいたい。
 帝国データバンクの調査によれば2019年1~9月の後継者難が原因となった倒産は325件で前年同期に比べ12%以上増え、13年の調査開始以来、最多となった。特則のはじめにもあるように、後継者不在により、事業を断念し廃業する企業が一段と増加すれば、地域経済の持続的発展に支障をきたしかねないことを認識し、対応してもらいたい。2020.1.24


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