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社説 取引先への影響を見誤るな

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 新型コロナウイルス感染による肺炎の拡大は、容易に終息が見通せない状況だ。金融機関は行職員の感染防止は当然ながら、取引先への影響をしっかりと見ていく必要がある。訪日中国人観光客は大幅に減少し、宿泊予約キャンセルが相次ぐ。いまだ操業を再開できない進出工場もある。現地に進出していなくても、サプライチェーンで中国企業とつながっている日本企業は多い。中国での生産回復に時間がかかれば、広範囲で影響が避けられない。世界経済の成長をけん引してきたアジア経済の変調要因にもなり得る。
 2019年に日本を訪れた中国人は約959万人。国別で最も多い。訪日外国人消費額でも、およそ3分の1を占めており、中国人観光客の減少は宿泊業だけでなく国内観光業全般に深刻な打撃を与える。中国の団体旅行禁止措置が長引けば、中国人観光客に人気がある地域への影響は、計り知れない。政府は観光業者支援の方向を示しているが、金融機関も可能な範囲で、協力していくべきだ。
 世界の工場となった中国は、所得の増加により消費マーケットしての存在感も高めた。日本からの進出企業を業種別でみると耐久消費財の卸売業が約16%(東京商工リサーチ調べ)で最も高い。サービス業や飲食業も進出している。同国内での移動制限や生産活動の停滞が消費にどのような影響を与えるか、注視していく必要がある。
 国内企業も部品や原材料の仕入れ、輸出、製造委託などさまざまな形で中国とつながりがある。2月10日から中国内の工場は操業が再開され始めたが、地方政府ごとに対応は異なり、全面的な再開には、なお時間を要する見通しだ。部品や食料品など仕入れが滞れば、国内販売できず売り上げ減少を招く。中国向けの売上比率が高い企業も少なからず影響を受ける。
 金融機関は早急に取引先で想定される影響を精査し、リスクを見誤らないようにすることが重要だ。既に多くが、相談窓口設置や特別融資の取り扱いを始めているが、事態の長期化も視野に、資金繰り支援に万全を期してもらいたい。2020.2.14


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