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社説 働き方改革を加速する契機に

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、従業員の感染するリスクは金融機関でも高まってきた。三菱UFJ銀行や伊予銀行では営業店行員の感染が判明し、同僚行員の自宅待機や店舗の臨時休業といった非常事態への対応を迫られた。こうした事態は今後も全国の金融機関で起こりうる。感染を抑えるとともに万一に備えるため、出勤せずに働くテレワークや時差出勤など柔軟な勤務体制を整えておくことは重要だ。今回の緊急局面を機に働き方改革を加速したい。
 従業員が新型肺炎に感染したり、患者と濃厚接触した際は自宅待機などの対応が必要になる。在宅勤務やサテライトオフィスで仕事をするテレワークは非常時のBCP(業務継続計画)の観点からも有効だ。導入・利用を広げてほしい。そのためにはパソコンの貸与などIT環境の整備も必要だろう。また、通勤ピーク時を避ける時差出勤も積極的な推奨が求められる。
 金融機関の営業店では規制緩和で昼休業が増えてきたほか、今回のように感染者が出るなどやむを得ない場合、金融庁は臨時休業を認めている。限られた人員しか配置していない店も多く、柔軟に働ける店舗運営を進めてもらいたい。
 ただ、そうした勤務スタイルの浸透には職場の「休み方改革」が重要になる。2019年4月施行の働き方改革関連法で義務化された年次有給休暇の取得はしやすくなったが、強制力のない制度休暇や最低限の日数以上は取得が進んでいないのが実態。残業管理の厳格化で管理職を中心に業務密度が高まっていることなどが背景にあり、職場の協力体制は不可欠だ。
 政府は新型肺炎の感染予防で全国の公立小中高校と特別支援学校に3月2日から一斉休校を要請した。仕事を休まざるを得ない共働き家庭は多いが、負担の中心は女性になろう。今回の措置をきっかけに、依然として低調な男性の育休取得機運が高まるに越したことはない。金融界では、有給休暇を使い切った従業員が自宅待機した場合に出勤扱いにして給与を払う対応も出てきた。従業員が働きやすい柔軟な対応を望みたい。2020.3.6


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