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社説 マイナス金利深掘りは避けよ

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本銀行に対する追加の金融緩和圧力が一気に高まってきた。景気後退リスクの浮上に加え、金融市場の動揺で円高が進んでいるためだ。各国中銀も金利引き下げに動き始めたが、異次元緩和政策を取る日銀に打つ手は限られる。仮にマイナス金利を深掘りすれば副作用が深刻化するのは明らかで、慎重に判断すべきだ。政府も金融政策に過度に頼らず、業況が悪化した企業の支援などに絞った効果的な経済対策を継続的に講じてもらいたい。
 主要7カ国(G7)の財務大臣・中銀総裁は3月3日、「すべての政策手段を用いる」と共同声明を発表。その直後、米連邦準備制度理事会(FRB)は0.5%の緊急利下げに踏み切った。だが、市場ではかえって事態の深刻さが意識され、円買いが進展。株価は3月9日、2万円の大台を割った。
 実体経済も打撃を受けている。訪日観光客の減少や大型イベント自粛による消費低迷、中国とサプライチェーンでつながる企業への影響だ。こうした市場・経済の混乱に対して、日銀は適切に対処すべきだろう。
 既に金融市場調節や上場投資信託(ETF)購入の積極化に動いているが、懸念されるのは為替の動向だ。市場では「1ドル=100円を切る水準まで円高が進めば追加緩和に踏み切る」との見方が大勢。その場合、政策金利のマイナス0.2%への引き下げも予想されている。
 大手格付け会社はマイナス金利を0.1%深掘りすると、地域銀行のコア業務純益が2割減ると試算する。金融機関の経営をさらに圧迫し、金融仲介機能を損なうことになれば、苦境に直面する取引先企業や地域を支えることが難しくなってしまう。経済に悪影響を及ぼす利下げは避けるべきだ。
 政府は3月10日、総額1.6兆円規模の金融支援策を打ち出し、中小・大企業のセーフティネットを拡充した。必要ならば追加措置を講じてほしい。金融機関は取引先の声を聞き、資金繰り支援はもちろん、条件変更や柔軟な引当などで業績回復に手を尽くしてほしい。2020.3.13


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