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社説 御室・全信協新会長に期待

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 全国信用金庫協会の会長が6月24日、佐藤浩二・多摩信用金庫会長(77)から浜松いわた信用金庫の御室健一郎理事長(75)に代わった。多くの信金取引先が新型コロナウイルス感染症の影響を受けている。今、困窮する中小企業を支えられなければ、業界の存在意義が薄れる。新会長には、各信金の役割発揮をサポートする協会活動を期待したい。中長期的には地方創生やデジタル化なども課題だ。
 4月の緊急事態宣言以降、大きく売り上げが落ち込んだ飲食業は、信金との取引が少なくない。各地の信金が連携し「年金旅行」で支援してきた観光関連産業も厳しい。
 信金中央金庫とも連携し、信金業界ならではの取引先支援策を実現してほしい。新たな貸倒引当金のあり方など、信金の経営に資する施策の充実も必要だ。信金の活動の妨げとなる規制があれば、積極的に緩和を求めるべきだ。
 前任の佐藤氏が、会長として4年間力を入れてきた地方創生支援の手は緩めることができない。とりわけ事業承継支援は重い。ここで廃業が加速するようなことがあれば、地方創生への道は遠のく。
 マネーロンダリング対策など複雑化する規制や、加速するデジタル化への対応も欠かせない。共通化できる部分は共通化し、個別信金の負担を軽くする施策が求められる。
 東京都以外の信金トップが全信協会長に就くのは、1994年~2001年に会長を務めた岐阜信用金庫の加藤敬吉氏以来だ。地方の実情を肌身で知る御室氏ならではの手腕が期待される。地元の静岡県では、県内信金で手形交換事務を集中化したり、相続事務の手続きを銀行も含めて共通化したりするなど、先進事例を生み出した実績がある。
 来年21年6月には信金法施行70周年を迎える。原点を忘れず、時代に合った信用金庫へ変革を推し進めてほしい。2020.7.3


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