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社説 国際経験で金融行政進化を

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 金融庁は7月20日付で遠藤俊英長官(61)が退任し、後任に氷見野良三・金融国際審議官(60)が就いた。3代目長官の高木祥吉氏以降8人続いた監督局長から長官というコースが変わった。当面は、コロナ禍で円滑な資金供給と、金融システムの健全性維持両立が課題となるが、国際派の氷見野氏ならではの手腕で金融行政を進化させてほしい。
 氷見野氏は、バーゼル規制導入を巡る国際的な議論の場で、しっかりと日本の意見を主張し、邦銀が受け入れられる条件を引き出すなど、粘り強い交渉力に定評がある。現在も金融安定理事会(FSB)の常設委員会議長職にあり、コロナ禍で求められる国際協調へ重責を担う。
 国内では遠藤氏が進めてきた積極的な対話と、規制緩和による地域銀行のビジネスモデル改革後押しを続けてもらいたい。対話は足元のコロナ禍での融資対応にも不可欠。過度な保証依存に目を光らせる必要はあるが、上から目線では金融機関が萎縮する。取引先支援が滞れば、さらに地域経済の縮小が進む。事態が長期化した場合、資金繰り支援だけでは息切れし、不良債権の増大、金融システムの不安定化を招く恐れもある。
 金融庁がミッションに掲げる国民の厚生増大、経済の持続的成長を実現する視点で対話を深化させ、資金仲介にとどまらない金融の機能を引き出すことが大事だ。
 規制見直しも、積極的に進めてもらいたい。金融界から根強い要望のある不動産仲介解禁なども端(はな)から排除すべきではない。また、技術革新は加速しており、これまで以上にスピード感が求められる。
 海外の金融人脈が豊富な氷見野氏だけに、東京都が掲げる国際金融都市構想への貢献も期待される。国際金融センターとしての地位を確立できるかは、日本の経済成長に大きく影響する。2020.7.24


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