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社説 工程表示しデジタル化急げ

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 菅義偉(よしひで)首相は、デジタル化を重点政策に掲げた。歴代政権が取り組みながら、目に見える成果はあげられていない課題だ。行政だけでなく社会全体の効率性が高まるようにロードマップを示し、迅速に実行に移してもらいたい。首相が示したデジタル庁を創設し、一元的に対応する考えは、省庁縦割りの弊害をなくすには有効だろう。改革のスピードアップも期待できる。
 行政手続き効率化にはマイナンバーカードの普及と利活用範囲の拡大が鍵を握る。カードは2016年に導入されたが、取得率は約20%と低迷する。キャッシュレス決済普及と消費刺激のため、4千万人分の予算を確保し、9月から始まったマイナポイントの申し込みも、8月30日時点で377万人と反応は鈍い。
 取得が進まないのは、メリットが感じられないだけでなく、国民にある漠然とした不信感も影響している。正しい理解が深まるように啓発していく努力は欠かせない。
 民間サービスへの応用も期待される。利用者だけでなく民間企業が効率化などのメリットを享受できれば、弾みがつく。例えば、金融界では税金の収納や、今後増加が見込まれる相続手続きの簡素化などへの応用が考えられる。
 官民の協力は不可欠だが、民間の負担は考慮してもらいたい。全国銀行協会の三毛兼承会長は9月17日の会見で、「仮に全口座への付番が義務化され、預金口座への付番を店頭窓口で対応することになると、大変な作業になる」とした。そのうえで「公的機関と連携した一括付番など、簡便な方法の導入が進められればいい」と指摘している。
 また、デジタル社会からの落伍者を出さない配慮も求められる。世代の違いや経済力の差で、メリットが享受できないような仕組みでは困る。誰もが公平に、簡単に利用できることが改革の大前提だ。2020.10.2


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