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社説 ウィズコロナ時代 新戦略を

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 金融界は2020年、新型コロナウイルス禍という前例のない事態への対処に奔走した。経済の停滞で打撃を受けた取引先の支援はもちろん、デジタル化や新常態の働き方などへのシフトは今後、一段と加速しなければならない。ウィズコロナ時代を生き抜く新たな経営戦略を早急に描く必要がある。
 読者が選んだ「金融界10大ニュース」でもコロナ禍の危機対応が上位を占めた。3月の「WHO(世界保健機関)、パンデミック宣言」(4位)に続き、政府は4月「初の緊急事態宣言」(3位)を発令。金融機関は交代勤務や昼休業で業務を継続。インターネット取引や「脱ハンコ」(9位)など非対面化が広がる契機になった。今後は対面とのベストミックスも課題となる。
 危機下で金融機関の存在感を高めたのが積極的な「無利子・無担保融資」(7位)。苦境に陥る企業に必要な資金を行き渡らせた。だが、コロナの影響が長引けば与信リスクは高まる。抜本的な本業支援力がこれから問われよう。
 一方、コロナのワクチン開発への期待から11月には「株価が29年半ぶりの高値」(1位)を付けた。実体経済との乖離(かいり)感は否めず、金融緩和で流れ込んだマネーの相場押し上げに警戒は怠れない。
 地域銀行への再編圧力も高まった。9月、菅新政権が発足(6位)。「数が多すぎる」と言及した菅首相に歩調を合わせるように、日銀が経費削減や経営統合に取り組む地域金融機関の当座預金に付利する新制度を導入(8位)。同一県内の統合をしやすくする独占禁止法特例法(10位)も施行された。経営基盤強化へ活用が広がるか注目される。
 このほか「東証、システム障害」(2位)、「ドコモ口座などで不正出金」(5位)と投資家や利用者の混乱を招いた事案も相次いだ。再発防止の徹底は言うまでもない。2020.12.18


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