社説 感染防止と取引先支援入念に
新型コロナウイルスの感染拡大で、首都圏の1都3県が1月8日から、再び緊急事態宣言下に入った。政府が求める出勤者数の7割削減など、金融機関は最大限、感染拡大防止に努めてもらいたい。感染者は急増、関西の3府県、栃木・岐阜・愛知・福岡県にも宣言が出た。一人一人が緊張感を持ち行動しないと、歯止めはかけられない。併せて金融機関にはきめ細かな取引先支援が求められる。飲食店に限らず、広範囲の業種・地域に影響は及ぶ。
金融機関は昨年の緊急事態宣言時と同様、営業は継続。コロナ対応で導入した昼休業を続けている店舗は多いが、前回の経験を生かし、行職員の感染防止と業務継続に万全を期してもらいたい。クラスターが発生し、休業を余儀なくされた営業店もある。細心の注意が必要だ。昨年、急ごしらえで課題を残したテレワークの質向上も欠かせない。
取引先支援は、より難しさを増す。飲食業界は売り上げが回復する前に再び時短を強いられる。最大、1カ月180万円に増額される協力金では厳しい業者がある。無利子・無担保融資などで手当てした資金繰り計画に狂いが生じる先もあろう。ただ、既に借り入れは増えており、今後の資金繰り支援には、慎重さを併せ持つ必要がある。過剰借り入れ回避へ返済不要の助成金など、申請できる制度は、徹底して利用を促していくべきだ。
政府が支援対象を拡大するように、影響は食材納入業者や生産者など多方面に及ぶ。Go To トラベルの一時停止期間延長は、全国の観光業者にとって痛手だ。対象地域以外の金融機関も、取引先の状況変化を丁寧に見ていくことが重要だ。
感染拡大が続けば、緊急事態宣言の延長もあり得る。耐えしのぐ期間の長期化を見据えて、地域経済を支える金融の役割を全うしてほしい。2021.1.15
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