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社説 新社会人は変革に挑戦を

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 今年も金融界はコロナ禍のなかで入社式を迎えた。異状な就職戦線をくぐり抜け、社会人として第一歩を踏み出した若者に心からエールを送る。
 銀行の昔ながらのビジネスモデルは崩壊の危機に瀕している。収益の源泉だった融資ビジネスは、顧客の購買意欲(借り入れ需要)の低下と、売り値(金利)の下落が続く。多くの金融機関は、融資や預かり資産を積み上げる営業スタイルから、個人客や企業の悩みに寄り添うコンサルティング業務に軸足を移しつつある。それに伴い、働く行職員に求められる専門知識やスキルは今後も高度化しよう。新卒採用の応募者数が激減しても、採用担当者が「学生の質を落としてまで数を確保するつもりはない」と口をそろえるゆえんだ。
 コロナ禍は企業のデジタル化を一気に加速した。高齢者も含めて非接触取引への注目が高まり、インターネット専業銀行では口座数や預金残高が大幅に増加。多くの銀行もデジタルトランスフォーメーション(DX)で付加価値の高いサービスの提供や業務効率化にかじを切りだした。
 世間では保守的な印象が強い金融機関だが、入行式では「失敗を恐れず」(半沢淳一.三菱UFJ銀行頭取)、「チャレンジャーとして」(笹島律夫・常陽銀行頭取)仕事に臨む姿勢を促す訓示が目立った。先を見通すのが難しい時代だからこそ、デジタルネイティブ特有の感性や豊かな発想に期待したい。
 一方で、若手の離職率の高まりは「『構造不況業種』に身を置く不安」(地銀)や「想像していた仕事内容と現実との落差」(信金)が主因だ。将来や職務に対する不安を払しょくするには、組織として時代の変化に対応できる経営ビジョンが肝要。新社会人に対して、変革に正面から向き合うトップの姿を見せてほしい。2021.4.9


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