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社説 地域銀行の経営計画に新潮流

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 地域銀行が2021年度からスタートする中・長期経営計画を相次ぎ公表している。預金・貸出・為替の3大業務に代わって、コンサルティング業務や商社機能、人材紹介などの非金融サービスが重点施策の中核を成し、「脱・銀行」の流れを加速する。
 地域銀の存在意義は明確だ。表現に多少の差はあっても、もれなく地域を支え続けるという理念を掲げる。時代によって顧客ニーズや規制環境は変わる。地域を支えるための手段も不変ではない。地域社会が抱える多様な課題の解決に向けて、新たな事業領域を開拓する姿勢に期待したい。
 今回の新中計でも、目指す銀行の姿として「価値創造カンパニー」「地域貢献型コンサルティング会社」「銀行を超える銀行」など、これまでには見当たらない表現が目を引く。
 ただ、先行きが不透明で将来予測が困難な「VUCA(ブーカ)時代」のかじ取りは難しい。6年目を迎えたマイナス金利政策や2年目に入っても収束が見えないコロナ禍、今後も働き手が減り続ける地方経済。三重苦のなかで金融機関の稼ぐ力は弱まっており、健全性の維持に向けた改革も避けて通れない。3年で4%以上のOHR(経費率)低下を促す日銀に呼応する形で、踏み込んだコスト削減策を打ち出した銀行も多い。店舗内店舗方式による店舗統廃合の継続に加え、デジタルトランスフォーメーション(DX)による生産性の向上は各行共通の新潮流だ。
 目指すべき経営計画には人づくりの視点も目立つ。コンサル部門など専門人材の育成に傾注する銀行が増加。デジタル人材の育成・確保も急務だ。VUCA時代を乗り切るために、社会の急速な変化に対し、柔軟かつ適応力の高い「レジリエンス経営」が求められる。2021.4.16


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