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社説 現役世代の金融資産を増やせ

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 投資信託協会の有識者研究会は、20年後の「資産形成のありたい姿」を描いた報告書をまとめた。現役世代の金融資産を2倍にする目標を掲げ、積立投資の必要性を訴えている。将来不安を払(ふっ)拭(しょく)するために老後の資産をいかに増やすかは差し迫った課題で、ビジョンは重要な視点だ。2千兆円に上る個人金融資産の過半が現金・預金に滞留するなか、金融界全体のミッションとして共有してほしい。
 報告書では2041年までに20代で330万円、30代で710万円などと各世代の保有金融資産(二人以上世帯)の中央値を倍増させる目標を設定。その達成には税法上の優遇措置を受けられる積立制度の利用促進がカギを握るとし、すべての人の資産形成を基本に据えたのが特徴だ。
 金融機関では、つみたてNISAの推進に力を入れている。金融庁によると20年12月末で約302万口座と前年同月比約113万口座増加。特に20代は約80%、30代は約70%増と、若年世代で広がっている。一方で非稼働口座が多いとも聞く。口座開設の働きかけとともに、投資家の知識レベルに合わせて商品の選択肢を提示するなど提案力の向上を求めたい。
 個人型確定拠出年金(iDeCo)も若年層で認知が進む。「老後2千万円問題やコロナ禍を機に資産形成を真剣に考える人が増えた」(首都圏地域銀)ことで、加入者は5月末に200万人を超えた。地域銀行などが取引先に福利厚生の一環として積極推進していることも大きい。22年10月からは企業型確定拠出年金との同時加入も可能で、周知活動を加速させてほしい。
 資産形成を進めるうえでは顧客本位の業務運営が最優先されるが、依然として「業績重視の商品提案」への苦情も少なくない。長期投資家づくりに向けて、真に顧客に寄り添う姿勢が問われてくる。2021.6.25


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