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社説 資本市場と向き合う契機に

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 東京証券取引所は2022年4月に現在の5市場を「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編する。東証が7月9日に通知した一次判定では、市場第一部上場企業の3割が最上位のプライム市場の上場維持基準を満たせなかった。個社は9~12月にどの市場を選択するか最終判断するのに際し、今後の資本市場との向き合い方を見つめ直す機会とすべきだ。
 金融当局や証券取引所が近年進めてきた企業統治・市場改革のメッセージは一貫している。一つは、社内昇格の役員だけで物事を決めず、組織の意思決定に社外の知見を取り入れてガバナンスを高めること。二つ目は、日本特有の株式持ち合いは株式市場の価格形成をゆがめる恐れがあり、グローバル化の時代にそぐわない。今回の改革でも流通時価総額の計算方法や独立社外取締役の数値基準にそれらを促す視点が組み込まれた。
 東証一部からプライム市場に移行できない企業の既存株主に不利益とならぬよう、経過措置を設けたのは妥当だろう。一次判定で未達だった企業の多くは経過措置期間にプライム市場残留の対策を練ることになるが、中期的には身の丈に合った厳しい選択もあり得よう。地域を事業基盤とする地域銀行の場合、自らスタンダード市場を選んで上場維持コストを抑制することも一つの経営判断となる。
 新市場の選択以上に、より本質的な課題は、市場参加者が地域銀株を割安なまま放置している現状をどう打開するかだ。マイナス金利政策が解除されるまで浮揚の機会は乏しいが、株式の持ち合い解消に備えて個人投資家のすそ野を広げるなど新たな安定株主づくりへ地道に取り組むしかない。プライム市場への移行基準を満たす金融機関も同様だ。プライム市場移行をゴールとせず、持続的な企業価値の向上を期してほしい。2021.7.23


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