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社説 適正な労務管理へ点検怠るな

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 2020年に残業代の未払いなど労働基準監督署から法令違反の指摘を受けた金融機関の事業場が、19年に続き4割を超えた。働き方の多様化や法改正を受け、労務管理が複雑化したことによる対応の不備が多い。放置すれば訴訟トラブルに発展しかねない。該当先が改善すべきは当然だが、変化の激しい雇用環境下、安心して働き続けられる職場へ各金融機関とも適正な労務管理の点検を怠れない。
 定期監督などの調査で最も違反割合が高かったのは時間外・休日労働に対する割増賃金の未払い。働き方改革で残業は減ったが、時間外の計算方法が適正でないケースが多かった。業務の属人化を避けるうえでも勤怠管理のシステム化を急ぐ必要がある。
 労働時間の把握義務違反の指摘も目立つ。働き方改革関連法で管理職を含む全従業員が対象となった点や、パソコンでの客観的な管理ができているかなどを改めて再点検すべきだ。営業現場では残業代のつかない管理職への“業務しわ寄せ”も聞こえてくる。勤怠情報の正確な把握は従業員の健康管理に直結するだけに厳格な対応を求めたい。
 このほか採用時などで欠かせない給与など労働条件の明示義務も不十分な先が増えている。雇用形態が多様化するなか、それぞれに合った契約書や就業規則が用意できているか絶えず注意が要る。
 労務管理の法令順守は従業員の働く環境を守る大前提だが、労使の信頼関係を深めることも労務リスクを防ぐうえで大切だ。コロナ禍でコミュニケーションが薄れており、従来はトラブルにならなかった事象でもあつれきが生じ得る。処遇制度変更の際などは従業員への丁寧な説明が欠かせない。多くの労働組合で新組合年度が相次ぎ始動する。新執行部には労働条件と実態とを照らし合わせ職場改善につなげる役割を期待したい。2021.8.6


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