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社説 企業風土を改め再建果たせ

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 システム障害を繰り返した、みずほ銀行と親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)は11月26日、金融庁から今年二度目の業務改善命令を受けた。顧客に多大な影響を及ぼした経営責任は極めて重く、坂井辰史・みずほFG社長ら経営陣の引責辞任は当然だろう。失った信頼を取り戻すのは容易ではない。障害の再発防止策はもとより、強い危機意識を持って企業風土を改革し再建してもらいたい。
 2~9月までに計8回起きたシステム障害を受け、金融庁は「日本の決済システムの信頼性を損ねた」と断じた。原因は経営陣のシステムの重要性に対する認識の甘さなどガバナンスの問題とした。新基幹システムの本格稼働後、携わった関連人員を大幅に減らすなど保守・管理態勢を弱めた実態が浮かび上がった。
 顧客対応については「影響に対する感度の欠如、営業現場の実態軽視」と厳しく指摘した。障害が起きた際に経営陣が現場から継続的に報告を受け、適切に指示する態勢の未整備が露呈。これでは役職員が共有する行動軸に掲げた「お客さま第一」には程遠いと言わざるを得ない。
 これら問題の根底にあるのが企業体質そのもの。金融庁は「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」と、組織構造のあり方を異例とも言える文言で痛烈に批判。風通しを良くし、自浄作用が十分に働く風土を作り上げなければならない。
 みずほは指摘された重い課題に向き合い、組織の膿を出し切る覚悟が要る。経営刷新による「けじめ」をその契機とし、信頼回復につなげてほしい。ただ一連の障害がこれほど問題視されているのは、銀行のシステムが社会に欠かせない重要インフラとなっている裏返しだ。金融界全体で改めてITガバナンスや危機対応力、組織のあり方を再考する機会にしたい。2021.12.3


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