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社説 新成人には適正与信の徹底を

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 2022年4月の成人年齢引き下げに備え、金融機関が対応策の検討を急いでいる。18、19歳の新成人は親の同意なく金融サービスの契約が可能となるが、一方でカードローンなどの過剰借り入れも懸念される。返済能力などを踏まえた「適合性の原則」に基づく適正与信の徹底が必要だ。合わせてトラブルの未然防止へ若年層の金融リテラシー習得・向上も急がれる。
 民法では親の同意がない未成年の契約行為は取り消せるため、現状は多くの金融機関がローンの契約条件を「20歳以上」としている。改正民法の施行後は高校3年生に当たる18歳から成人となることで、ローンの対象年齢を引き下げるところも出てこよう。
 留意すべきは、そうした若年成人は一般的に金融商品の取引経験に乏しいうえ、収入が少ないことだ。もちろん既に就職して返済能力や金融取引の判断力を備えた人もいる。貸し手側に肝心なのは、借り手の収入状況や金融知識レベルを踏まえ与信の審査や管理を厳格に行うことである。
 与信に際しては契約内容を丁寧に説明して理解を求めるのに加え、利用限度額を低く設定したり、収入証明書を取得したりすることも考えられる。支払い能力を超える債務を負わせないよう金融機関側が契約者保護の対策を講じることが重要だ。金融界全体で対応の申し合わせを検討するのも一案だろう。
 若年層への金融教育も待ったなしだ。契約トラブルは未成年の取消権保護がなくなる20代前半から増加傾向にあり、今後は高校生の多重債務発生さえ危惧される。教育の担い手として金融界の役割は高まろう。一方、新学習指導要領で中学・高校に金融教育が導入されたが、教員の知識不足や授業時間の確保が困難など課題も多い。政府には国策として早期に金融教育を浸透させる環境整備を求めたい。2021.12.17


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