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社説 脱炭素の流れを後退させるな

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 ウクライナ危機に伴う原材料費の高騰で、企業の脱炭素の取り組みが後退する懸念が出てきた。景況感が悪化し、収益に直結しない脱炭素よりも目先の売り上げ回復や収益を優先する企業が出始めているためだ。だが、先に公表された国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書では温暖化の深刻さが改めて示された。気候変動対策への推進力を弱めてはならない。金融界も取引先への働きかけを継続してほしい。
 原材料費の上昇は企業心理を冷え込ませている。日本銀行の3月短観では大企業製造業の業況判断指数(DI)が7四半期ぶりに悪化した。先行き判断DIでも一段の悪化が見込まれる。
 憂慮すべきは、逆風に見舞われている企業の一部で脱炭素化を後回しにする動きがみられることだ。原材料高が一過性でなく、円安が加速すれば内需型企業の苦境は一段と深まる。脱炭素から距離を置く企業が広がりかねない。
 IPCC報告では、2050年に温暖化ガス排出量の実質ゼロを達成しても30年までに半減させなければ気温上昇を1.5度に抑えられないと指摘。現状の取り組みでは不十分で、対策を強めなければ今世紀末までに3.2度上昇するとも警告した。危機感を共有し、広範な企業に対策を促す必要性は論をまたない。
 国内では、早期の脱炭素が難しい企業の低炭素化を促す「移行金融」が動きだしたばかり。先導役の金融機関は原材料高に直面する取引先の資金繰りへの目配りとともに、移行を粘り強く訴えてほしい。また外部機関と連携した排出量の測定や、サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)を積極的に取り扱う銀行も増えてきた。政府はそうした取り組みを補助制度などで後押しすべきだ。災害の多発を招く気温上昇を抑えるのに残された時間は少ない。2022.4.15



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