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社説 NISAの恒久化急げ

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 就任時に「金融所得課税の強化」に言及し株式市場の不興を買った岸田文雄首相が、マーケットでの「日本売り」に歯止めをかけようと軌道修正に動き始めた。長年の懸案である「貯蓄から投資」の流れを巻き起こすには、従来の延長線上の施策では不十分だろう。NISAの恒久化など大胆な手を打ち、2千兆円の個人金融資産を持つ国民に明確なメッセージを発信すべきだ。
 岸田首相は5月5日、ロンドンの金融街・シティーで講演し、「資産所得倍増プラン」に着手すると表明した。この20年間で、米国では家計金融資産が3倍、英国でも2.3倍になったのに対し、日本は1.4倍にとどまっている。個人金融資産の半分以上が預金・現金で保有されていることが主因であり、金融市場改革を通じて貯蓄から投資へのシフトを進めると強調した。
 政府は5月に個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入上限年齢を65歳未満に引き上げたばかりだが、資産所得倍増プランの一環として、さらに引き上げる案が浮上している。それ以上に市場の注目を集めているのが、首相がロンドンで言及した「NISAの抜本的拡充」の具体策だ。
 日本証券業協会の森田敏夫会長は5月25日の会見で、NISAの恒久化や年間拠出額の引き上げなどを政府に提言する考えを示した。恒久化は、市場活性化の旗を振る金融庁の悲願でもある。富裕層への優遇だという批判や税収減の懸念から、財務省はこれまで慎重姿勢に徹してきた。
 だが、いつはしごを外されるか分からない不安の残る制度設計では、一般世帯の背中を押す効果は限られる。税務当局の厚い壁を崩すには、政治のリーダーシップが必要となろう。岸田政権が本気で国民に投資行動の変化を促すのであれば、NISAの恒久化に踏み切るべきだ。2022.6.3



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