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社説 生え抜きの女性役員を増やせ

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 銀行界で女性役員の内部登用が遅れている。持ち株会社を含む上場銀行81行・社の女性役員数は2022年3月期(有価証券報告書)で前年同期比9人増の129人となったが、約9割が社外からの招へいだ。デジタル化や脱炭素化などの環境変化に柔軟に対応するには外部人材だけでなく、現場に近い女性の力が重要になる。生え抜きの女性役員輩出に期待したい。
 経営に多様性が求められるなか、社外から経験豊富な女性を招く意義は大きい。ガバナンス強化にも資する。ただ、外部人材に頼るだけでは、上を目指す女性行員のモチベーションに影響しかねない。組織の活力を高めるためにも、行内で経験を積んだ人材登用をもっと進めるべきだ。
 その前提となるのが、役員候補となる人材プールの拡大。三井住友信託銀行は21年度から、次世代の幹部候補女性に役員がメンタリングを実施のうえ経験を積むことを支援する「サポーター役員制度」を導入。三菱UFJフィナンシャル・グループも役員を目指す意識の醸成へ女性管理職に選抜研修やメンタリングプログラムを取り入れている。金融界全体でこうした取り組みを通じ、次世代の女性リーダー育成に努めてほしい。
 女性活躍を後押しするワークライフバランスの充実も重要だ。育児休暇制度は広がっているが、育休取得者は昇格が停滞する傾向にあるともいう。百五銀行は育児経験も貴重なキャリアと捉え、4月から育休期間を一定の在任期間(勤続年数)まで算入する制度に改定。キャリアアップを目指しやすい環境を整えた。
 中長期的にプロパーの女性役員を増やすうえで男女の賃金格差是正も課題だ。金融・保険業は男性対比の女性の賃金水準が全産業のなかでも低い。男女問わず能力を発揮できる職場へ問題点を洗い出し、公正な処遇を追求したい。2022.7.15


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