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社説 パパ育休を広く浸透させよう

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 男性の育児参加を促す新制度「産後パパ育休」が10月から始まった。改正育児・介護休業法の段階施行の一環で、妻の産休期間中に夫が従来の育休とは別に最長4週間の取得ができる。金融界も対応が進んでおり、仕事と育児を両立する男性が増えることを期待したい。一方、制度の形骸化を防ぐために、まずは取得しやすい環境作りの工夫が欠かせない。取得促進へ組織を挙げて浸透させてほしい。
 今回の法改正は、男性の育児へのより積極的な関与と、女性のスムーズな職場復帰の支援が大きな狙いだ。このため、育休取得者は国からの給付金と社会保険料の免除があり賃金の実質約8割を確保できる。これまで男性の育休取得が進まなかった理由の一つに収入面での不安があった。制度を周知し、経済的不安を解消すべきだ。
 金融界では法改正を機に育休制度を拡充する動きも広がっている。八十二銀行は元々、産後8週間以内・3日間だった育児目的休暇制度を、子供が満2歳に達する月の末日まで最大10日間に延ばし、1分単位での分割取得も可能にした。制度の使い勝手が高まり、取得の後押しとなろう。
 制度の利用を促すための仕掛け作りも重要だ。コンコルディア・フィナンシャルグループは統合報告書に安心して働ける職場として、男性育休取得者のインタビュー記事を載せている。ロールモデルとして育休取得した従業員の体験談を広く周知することは、職場の理解浸透にも有効だ。
 仕事の「属人化」を解消するきっかけにもしたい。専門的な知識を要す、あるいは人手不足の部署では「職場に迷惑がかかる」と取得をためらう人もいよう。業務を棚卸しし、周囲がカバーできる体制を作り上げる必要がある。
 働きやすい環境の整備は優秀な人材を確保するうえでも重要だ。男性育休を法改正対応という受け身でなく、経営戦略の一環と捉え、前向きな取得奨励が望まれる。2022.10.21


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