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社説 「ゼロゼロ」出口でも存在感を

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 政府は今回の経済対策で、中小・零細企業の資金繰り措置として既存債務の借り換え支援を強化することや、官民の金融機関に対して貸し付け条件の変更(リスケ)に柔軟に応じるよう要請する方針を盛り込む。通称ゼロゼロ融資の返済が本格化しており、借金に苦しむ事業者が増えかねない。いよいよ“出口戦略”の始まりであり、金融機関にとっても重要な局面を迎える。
 コロナ禍の当初、同融資を通じた資金供給は政府系金融機関だけでは人手が足りず、国が民間金融機関にも開放してから一気に普及した経緯がある。民間経由の資金が行き渡り始めたのは2020年5月。それから2年半が過ぎた。
 同融資は当初3年間は無利子。かつ最長5年の元本据え置きが可能。だが来年5月から順次、無利子期間が終わる。据え置き期間も3年以内に設定している事業者が多く、すでに3分の2で返済が始まり、来夏には8割を超える。
 帝国データバンクの8月調査では、借り手の1割強が今後の返済に不安を抱いているという。同融資の実績は230万件以上。その1割ともなれば、社数は膨大になる。
 金融機関にとって、同融資は確実に資金を回収でき、薄利ながら利子も稼げる利点があった。その分、出口戦略では、企業支援を期待する政府からのプレッシャーも大きくなろう。ただ、問題は対象企業が多すぎて、あまねく手厚い支援は難しいことだ。
 経営者へのヒアリングを通じて優先順位を明確にするのが先決。自主再生が可能な先、借り換えやリスケによる猶予期間の延長でしのぐ先、早急に手を打たなければ再建の芽がなくなる先、将来性から判断して廃業やむなしの先などを見極める必要がある。
 2年前、民間金融機関は有人店舗をフル回転させて、国策であるゼロゼロ融資の“入り口”に大きく貢献した。本業支援と再生支援が求められる今後は難易度が増すが、出口でも存在感を放ってほしい。2022.10.28


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