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社説 勘定系統合でDX戦略加速を

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 NTTデータの共同化システムを利用する4陣営の地域銀行が、勘定系をメインフレーム(大型汎用機)からクラウドへ移行する検討に入った。データセンターやハード設備などの共用で、管理費用の大幅削減や効率運用につながる。コスト構造の抜本的見直しに向けた大きな一歩だ。各行は共用化で生まれる投資余力を顧客向けの競争領域に重点配分し、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を加速してほしい。
 共用化の構想はNTTデータが、地銀共同センターやMEJAR(メジャー)など4陣営に提案。同社が構築する「統合バンキングクラウド」を2028年ごろから段階的に提供予定で、実現すれば勘定系の非競争領域で約40の地域銀が手を組むことになる。
 地域銀の多くは長らくシステム経費の重さに経営を圧迫されてきた。金融庁の調査によると、預金量対比のシステム経費割合(年間)は信金の0.10%に対して0.16%と高い。勘定系の統合でITコストの大幅合理化に寄与することが期待できる。
 さらに、今回の新システム移行の大きな意義はクラウド基盤への切り替えである。従来のメインフレームでは難しかった外部接続に幅を持たせられるためだ。フィンテック事業者などとのAPI(データ連携の接続仕様)連携が進むなか、モバイルアプリ導入などの自由度が増せば顧客ニーズの変化に、より柔軟に対応したサービス投入が可能になる。競争領域に経営資源を振り向け、DX対応力を一段と高めてもらいたい。
 もっとも、デジタル活用による新しい商品・サービス創出にはITスキルや高度な知識を持つ人材の確保・育成が前提となる。先の金融庁調査では、IT人材のキャリアパスや評価基準の策定などが進んでいない実態も浮かび上がった。自行内でのITリテラシー向上はもちろんだが、クラウドベンダーにも人材育成面での後押しを望みたい。2022.11.25


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