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社説 市場急変で危惧される投資離れ

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 米国の関税政策に端を発し、金融市場の揺れが大きくなっている。昨年スタートした新NISA(少額投資非課税制度)で勢いがついた「貯蓄から投資」への流れに、水を差しかねない状況だ。金融機関は、顧客が冷静に判断できるよう適切なフォローや情報提供が求められる。
 4月2日に、トランプ米大統領が相互関税を発表した後、世界の株式市場は大幅に値を下げた。日経平均株価は7日に一時3万1000円を割り込んだ。ところが、9日の発動後、すぐに多くの国に対し、最低税率の10%を除く上乗せ分の適用を90日間停止すると発表し、株式市場は急伸。10日の日経平均株価終値は前日比2894円上昇し、史上2番目の上げ幅となった。
 ただ、荒い値動きは続いている。不透明感が晴れず、投資信託保有者には不安があろう。一時的に大幅な下げを記録した昨年8月以降に投資を始めた人にとっては、初めての大幅下落経験となるだけに、なおさらだ。
 相場急変を受け、すぐに営業店向け説明会を開いた金融機関があったように、顧客対応にあたる金融機関職員は現在の市場状況を、できる限り正確に説明できるようにしておきたい。聞かれて何も答えられないようでは、顧客の不安は増すばかりだ。
 そのうえで、顧客の資金の性格や資産運用で目指すゴールを踏まえて、相談に応じることが求められる。ゴールを変更する人もいれば、維持する人もいるだろう。それぞれに、どういう可能性や選択肢があるのか丁寧に説明し、最終的には顧客に判断してもらう必要がある。積み立て投資の場合、平均購入価格を下げられる局面とも言える。
 株式市場だけでなく、為替や債券市場の動きも激しい。4月1日に1ドル149円台だった為替相場は4月11日に142円台まで円高が進んだ。当面は不安定な市場の動きが続くことを想定して、冷静な行動を促していきたい。2025.4.18


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