社説 NISA浸透へ金融教育充実を
2014年に始まったNISA(少額投資非課税制度)を使った累計買付額が2月末で56兆円を超え、資産運用立国実現へ2027年を目標としていた政府計画を3年前倒しで達成した。24年に非課税枠の増額など利用者のメリットを拡充した新NISAが始まった効果は大きい。24年だけで約17兆4千億円の買い付けがあった。一方で口座数は24年12月末時点で2560万と、政府目標の3400万には、まだ距離がある。
24年は日米の株式相場が総じて堅調に推移したことで、NISAの利用に弾みがついた。世界株ファンドなど特定の投資信託に人気が集中し、ブーム先行の感もあった。
25年に入り、株式相場は軟調な局面が続いている。ブームに終わらせないためには、金融経済教育を充実し、国民の金融リテラシーを高めていく活動が欠かせない。元本割れを含め、リスクへの理解不足は、一時的な相場の下落で投資からの離脱を招く要因になりかねない。
新NISAが始まって以降、各年代層で着実に利用者は増えている。ただ、20代を中心に若年層への普及余地は残る。24年9月末時点の年代別口座数は、40代が最多の482万、次いで50代481万、30代439万となっている。20代は287万で、新NISA開始前の23年12月末時点との比較で62万口座増えたが、30~50代の増加口座数を下回った。
収入差が影響している部分はあろうが、少額でも若いうちから長期間積み立てていくことが資産形成に有効なことを、しっかり伝えていく必要がある。
4月は多くの企業が新入社員を迎える。若い世代の金融リテラシーを高める好機と言える。取引先に金融教育の機会設定を働きかけるなど、金融経済教育推進機構(J‐FLEC)とも連携しながら、国民のファイナンシャルウェルビーングの実現を後押ししてもらいたい。2025.4.4
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