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社説 金融教育普及へ官民が結束を

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 政府は、金融経済教育を国家戦略として推進するための体制構築に乗り出す。2024年中に推進母体となる常設組織を設ける予定だ。具体的な事業範囲などは今後固めるが、これまで金融教育の知見・ノウハウを蓄積してきた金融界の積極的な関与が欠かせない。国民の金融リテラシー向上へ官民が結束し、今度こそ「貯蓄から資産形成」の流れを定着させたい。
 新設される「金融経済教育推進機構(仮称)」は金融広報中央委員会の機能を移管し、金融界からも人材を集める方向だ。これを機に、日本銀行や各業界団体、個別金融機関ごとに実施してきた学校や企業への金融教育を調整し、効率的かつ効果的に行えるよう知恵を絞ってほしい。
 一方、資産所得倍増を掲げる旗の下、個人に投資を促すことだけを優先すべきではない。金融リテラシーを高めるには生活設計や家計管理、ローン・クレジット、保険、金融トラブル防止など体系的な知識習得が重要だ。その意味でも金融界を挙げて連携する新機構に期待したい。
 政府は、中立的に資産形成を助言するアドバイザー認定制度の導入も予定している。新機構がファイナンシャルプランナー(FP)資格保有者などから、金融商品の組成・販売会社に属さない適任者を認定・リスト化する。つみたてNISAなど低リスク商品に限っては、個別銘柄の言及を認める登録要件緩和も検討されている。中立的アドバイザーが普及・定着するかが、資産形成への流れを勢いづける試金石の一つとなろう。
 もっとも同アドバイザーに関する制度整備が提示された背景には、既存の金融機関に対する不信感がある。足元でも一部で高リスクの仕組み債の行き過ぎた販売がみられるなど、「顧客本位の業務運営」の浸透は依然、道半ばと言わざるを得ない。金融界は改めて襟を正し、顧客の立場に立ったアドバイス機能の強化に努める時だ。2023.2.3


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